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AI発明およびAI支援による発明の特許性に関する動向
(26/02/13)
人工知能(AI)は、周辺的な計算ツールから技術革新の核心的な原動力へと変化した。わずか数年の間に、AI業界は急速な進歩を遂げ、実質的にあらゆる人類の活動分野に普及した。現在、AIはフォーチュン500企業や大学、個人によって、創薬から半導体設計、金融モデリングに至るまで、まさに最先端の課題に関連する研究やイノベーションを推進するために活用されている。AIシステムは、いわゆる発見のための重要なツールとして機能しており、時には発明プロセスそのものにおいて能動的な参加者のような役割を果たすことさえある。この変化により、特許法は、発明は人間のみが行うものであるという前提のもとに構築されてきた法理を揺るがす問いに直面せざるを得なくなった。そして2025年、それらの緊張はついに限界点に達した。
ここ数年、米国特許商標庁(USPTO)、連邦巡回区控訴裁判所、およびこの分野の法律実務家たちは、相互に関連しつつも異なる2つの問題に取り組んできた。それは、(1) AI関連の発明が米国特許法第101条の下で特許適格性を有するかどうか、および (2) AIシステムが特許出願に至る発明の創造を実質的に支援した場合、特許法の発明者要件はどのように適用されるかという問題である。これらの問題は、最高裁による現代の主題適格性(subject-matter eligibility)についての近時の判断の流れや、2022年における高度な機械学習システムの台頭以来、徐々に表面化してきたが、2025年はそれについての法理統合についての転換点となった。
その統合は、行政と司法の両面で起こった。行政面においては、USPTOが2025年に複数のガイダンス文書を発行し、AI関連発明の主題適格性を審査官がどのように評価すべきかを再規定してこれをより精緻なものとした。これは、USPTOの「2019年改定特許主題適格性ガイダンス」および2024年7月のアップデートに基づきつつ、ある側面では適格性の範囲を拡大するものであった。これらの資料では、人工知能を抽象的にとらえて断定的に扱うのではなく、具体的な技術的改善という観点からAI発明を評価することを強調した。並行して、USPTOはAI支援による発明の発明者に関するガイダンスを更新し、AIシステムが重要なツールであり、発明プロセスにおいて重要な役割を果たす可能性がある一方で、発明者になり得るのは人間のみであり、特許性は引き続き「有意義な人間による貢献」にかかっていることを強調した。
司法面においては、連邦巡回区控訴裁判所の「Recentive Analytics, Inc. 対 Fox Corp.」事件の判決によって、AI関連発明の主題適格性を同裁判所が今後どのように扱うかが、同年の後半にUSPTOが発行した主題適格性ガイダンスとの間に一定の緊張関係を生じることとなった。Recentive事件において、裁判所は、機械学習を新しいデータシステムに適用することが含まれるクレームについて確立された第101条の原則を適用し、単に機械学習を使用したことをクレームに記載しただけでは、特にそのクレームが伝統的に人間が手作業で行ってきたプロセスへの機械学習の「一般的」な適用を含む場合には、それだけで発明に特許適格性が与えられるわけではないことを再確認した。同時に、この判決は、AI関連の発明が本質的に抽象的というわけではなく、適格性分析は、クレームが実際に技術的改良として何を記載しているか、およびそのクレームを裏付けるために何が開示されているかに基づいて行われなければならないことを明確にした。したがって、この判決は「制約」と「シグナル」の両方の機能を果たしている。すなわち、これはAIというラベルを貼ることで抽象性を回避しようとする試みに対する制約として機能する一方で、技術的改善に向けられ注意深くクレーム化・裏付けされたAI関連発明は特許適格性を持ち得るというシグナルとしても機能することになる。
このような展開には、急速な技術変化のさなかで特許法理を安定させようとする努力が反映されている。ある意味では、規制当局や裁判所は、AIについて固有の除外規定や例外を設けるのではなく、既存の法定枠組み-第101条の適格性、伝統的な発明者原則、および長年培われてきたクレーム解釈の法理-が、AIイノベーションを促進する上で引き続き中心的な役割を果たすことを2025年に概ね再確認した。同時に、ジョン・スクワイアーズ長官の下で発行されたUSPTOガイダンスは、審査官に対し、イノベーションを推進する視点を持ってAI関連発明の出願を審査し、出願人に適格性を証明するより多くの機会を与えるよう促すという方向性を示した。とは言っても、技術的改善がどこにあるのかを正確に説明し、人間の発明への貢献を注意深く文書化する責任は、依然として出願人と実務家の側に残されているのである。
本稿では、AI発明およびAI支援による発明の特許性形成をめぐる2025年の動向について包括的にレビューする。具体的には、第1部においては、技術的背景および業界の最近の動向を含むAIの基礎知識を提供する。第2部においては、AIおよびAI支援による発明の特許性に関連する特許法の主要な法理(第101条に基づく主題適格性および特許法に基づく発明者など)の背景を簡潔に説明する。第3部においては、両方の法理に関連する2025年の進展を検証する。具体的には、(a) AI発明の主題適格性(2025年以前および2025年のUSPTOガイダンス、ならびに判例法の動向を含む)、および (b) AI支援による発明の発明者に対するUSPTOの進化しつつあるアプローチについて検討する。最後に第4部においては、これらの動向が特許出願から登録までの間のやり取り、訴訟戦略、および将来の政策論争に与える影響を考察し、実務的な洞察とこれらの進展についての結論を述べることとする。
→本文は英語で提供しています。
Client Alert: Developments in the Patentability of AI Inventions and AI-Assisted Inventions
クイン・エマニュエル・アークハート・サリバン
外国法共同事業法律事務所
東京オフィス代表 ライアン・ゴールドスティン
この件につきましてのお問い合わせ先
マーケティング・ディレクター 外川智恵(とがわちえ)
chietogawa@quinnemanuel.com




